10月27日の金曜日、12時半ごろ。
私は、1週間ずっと後回しにしてきた事務作業に追われていました。
すると、見慣れないアカウントからメッセージが。
「タブラオミロンガだけど、本日18時から踊れませんか?」
…え??ええー!!!
いいのー!?!?
いや待てよ。
嬉しさやら緊張やらでプチパニックになりながらも、わずかに残る冷静な頭で考えました。
いくらガッツがあれども、衣装がなければ話にならない。
そこで確認したところ…どうにかなりそう!!
過去の私ありがとう!!
踊りも衣装も心も全く準備ができていなかったものの、Yesと答えたのでした。
(本当ならいつでも踊れるように準備しとかなくちゃダメですが笑)
それから通常のクラスに行き、終わった頃にはもう15時。
クラス中も気がそぞろでしたね。
少しだけ持ちネタの確認などして、やりたい構成を考えて、
大急ぎでメイクして、ヘアセットをして向かいました。
その日のカンテは、Carmen Yruela(カルメン・イルエラ)、
ギターは、Erika Gonzalez(エリカ・ゴンザレス)でした。
踊ったのは、グアヒーラとタラントです。
カルメンは25歳、エリカは26歳、私も26歳なのでほぼ同い年メンバーでした。
近い年齢同士の舞台だと、ちょっかい出し合いつつ支え合っているような、
フラメンコで遊んでいるような感覚になって楽しいですね。
ギターもカンテも心地良い。
もちろん色々反省点はあるけど、とりあえず踊り切りました。
どう見えていたのかは観客に委ねます。
ただ、タブラオ公式のインスタアカウントが、ど頭でど緊張して音を外している部分をちょうどストーリーに載せてたのは参りましたねー。
いつ切り取られても良いように踊らなきゃってことかしら。反省。
とにかく、バタバタとセビージャにてタブラオデビューを果たしたのでした。
これは、私にとってかなーり大きな意味があること。
というのも4年前、フンダシオン在学中に「頑張ればいつかスペインのタブラオで踊れるかなー」と夢を抱いてた私は現実の厳しさに衝撃を受けたのです。
まず、日本のタブラオとの大きな違いとして、客層の違いがあります。
セビージャのタブラオに来るお客さんの9割は、フラメンコを初めてみる観光客。
となると当然、より“本物“のフラメンコを見たいと考えるので、アジア人であることは大きなハンディキャップとなります。
残酷だけど、踊りのクオリティがそこそこでも見た目が美しい人が重宝されるのが現実です。
踊りは視覚メインで楽しむもんだからね。
しかも、仕事の獲得方法はほとんど口コミ、というかコネ。
その手の処世術は全然身につけてこなかった&苦手なのでもう絶望です。
その上、間が悪いことに、私が滞在してた時にコロナパンデミックも重なりました。
一流の踊り手が、
「何年もフラメンコに、踊りに捧げてきたのに、もう仕事がない。清掃員になるしか生きる道はない。」
なんて言いながら泣き崩れる様を目にした私は、
「あたしにゃこりゃ無理だ」
と就職することを決意したのでした。
それから月日は流れ、なんやかんや会社員はやめて踊っているけども、セビージャで踊り手として活動することはないだろうと、全然期待していませんでした。
今回は、そんな中での出来事だったので、ほんっとうに嬉しかったです。
しかも、1月から正式に踊り手として契約したいとのお話までいただいたんです。
うーその頃私は日本だー!!悔しすぎる!!!
まぁ例え1回だとしても、日本人だからというわけでもなく、
1人の踊り手としてフラメンコの本場セビージャで、踊りの仕事ができたことを心から嬉しく思うのでした。
そうそう、クラスで一緒の子にちょろっと話をしたらわざわざ私を観に一人で来てくれたのよ。泣けるね。
ぼんやりと思い描いていた夢が少しずつ現実になっていって、もう死ぬんじゃないかななんて思う今日この頃です。
残りの滞在期間も頑張ります。