今日はフラメンコではないです。
最近、宮本浩次の「ROMANCE」というアルバムをよく聴いています。
昔の曲のカバーアルバムですね。
そこで私が毎回引っかかるのがこちら。
この曲のプレッシャーが半端ないんです。
聞いたことの無い方向けに、以下に歌詞を載せます。
ジョニーが来たなら伝えてよ二時間待ってたと 割と元気よく出て行ったよと お酒のついでに話してよ友だちなら そこのところうまく伝えてジョニーが来たなら伝えてよわたしは大丈夫 もとの踊り子でまた稼げるわ 根っから陽気に出来てるの友だちなら そこのところうまく伝えて今度のバスで行く西でも東でも気がつけばさびしげな町ねこの町は友だちなら そこのところうまく伝えて今度のバスで行く西でも東でも気がつけばさびしげな町ねこの町はジョニーが来たなら伝えてよ二時間待ってたとサイは投げられた もう出かけるわ私は私の道を行く
友だちなら そこのところ
うまく伝えてうまく伝えて
これを聞いたとき、まず「友だちなら~」のところで、
「私はいったいどちらの友人なのか」
と迷います。
ここは一旦、
私と踊り子は小学校からの友だちで、
ジョニィとは、現在私たちが彼を待っている居酒屋で出会った、とでもしましょう。
あれは確か、雨が続く6月の終わり頃。
「アナタタチハ、ナットウ、タベレマスカ?」
と、いきなり話しかけてきたジョニィは、完全に怪しいガイコクジン。
だけど、悪い人には見えませんでした。
互いに陽気な彼女とジョニィはすぐに意気投合して、
3人でよくこの居酒屋で飲んだもんです。
他にも、私の彼氏も交えてドライブで海にいったり、
一緒に花火をしたり。
次第に彼女は、ジョニィに惹かれ始めます。
ところが、ジョニィは異国の地からふらっとやってきた外国人。
いつまで北陸にいるのかわかりません。
「あんた、ジョニィが国に帰るって言いだしたらどうするの」と私。
「そうなったらもうついていっちゃおうかな。どうせ踊り子も若いうちが華だし」なんて彼女。
ところがある時、ジョニィは忽然と姿を消します。
悲しみに打ちひしがれる彼女。
あんなに明るい彼女がこれほど落ち込むさまを、私はこれまで見たことがありませんでした。
私たちもどうにかしてジョニィの行方を捜します。
苦労の甲斐あって、ようやくジョニィの居場所がわかりました。
どうやら隣町のあるお宅で居候をしているとのことです。
迷った末に彼女は、ジョニィに手紙を出しました。
そうそう、ジョニィは外国人でお金もないからSIMカードもインターネットも持ってないのよ。
手紙には、こう綴られていました。
「来週の木曜、18時にいつもの居酒屋で待ってるね。」(もちろん全部ひらがなで。)
時刻は、20時15分。
「ジョニィ、隣町で良い女でも見つけたのかな…」と彼女。
「いや、道に迷っちゃったのかもよ。あ、ほら、ジョニィが来るならヒッチハイクだろうし、上手く車を拾えなかったのかも。」と必死のフォローを入れる私。
2時間も待ったとほざく彼女だが、正確には2時間と15分も待ちぼうけをくらっている。
私も心のどこかでジョニィは来ないのではと感じていたが、それを口にする勇気はない。
だいぶお酒も進み、口調も荒ぶる彼女。
話を聞くことしかできない私。
ついに、
「もういい!2時間待ったんだもん。これ以上待ってらんない、夜行バスで実家帰るわ!」
「ジョニィが来たら『元気に出てった』とか、『自分の夢で忙しそう』とか何とか上手く伝えといて!友だちでしょ!!じゃあね!」
と言い残し、彼女は居酒屋を後にした。
2時間…いや、もう3時間以上経ったけど。
あの子の地元もここのはずだけど、どこに行くつもりだろう。
万が一ジョニィが来たらどうしようかとぼんやり考えつつ、レモンサワーとさつま揚げを追加で注文する。
おのれジョニィめ。
と思ったけど、まぁ彼女なら大丈夫だろうね。
来週には「聞いて~新しくできたカフェの店員超イケメンなんだけど!!インスタのアカ教えてもらっちゃった!」とか言ってくるんだろうな。
あ、そういえば、木曜ドラマもう始まってんじゃん。
あーあ、録画しときゃよかった。見逃し配信あるかな。
…。
妄想にお付き合いくださりありがとうございました。
※もちろん全てフィクションです。